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発音補助装置(軟口蓋挙上装着(PLP))

上あごの柔らかい部分で喉の奥の部分にある口蓋のことを軟口蓋と言いますが、PLPの装着によって、軟口蓋を挙上し発話時の空気が鼻から漏れるのを防止します。そうすることによって発話が明瞭になります。私たちが話をする時、肺から出てきた空気の大半は声帯を通って喉に来て、鼻に抜けずに口の方から出てきます。約8割が口から出てきて、残り2割が鼻から出て行きます。鼻から出ていく空気の量が多くなってくると開鼻声と言われる、鼻にかかったような音になります。また、鼻からの空気の漏れを防止するために声帯を閉めるような異常な現象が見られます。これを声門破裂音といます。こういった音をなくすために発音補助装置(PLP)を作って装着します。

口蓋裂や脳卒中などで鼻と喉の境界を閉鎖する機能が低下すると発語の時に空気が鼻に漏れて言葉が不明瞭になったり、飲み込む時に食物が鼻に漏れて上手く飲み込めなくなったりします。軟口蓋挙上装着(PLP)鼻と喉の閉鎖をサポートするための装置で、装着することで話し言葉の明瞭度が上がります。

 

発音補助装置(軟口蓋挙上装置(PLP)):奥の歯にかけるワイヤーと上あごを覆う床がベースとなり後方に軟口蓋を挙上させる突起がついている。自分で自由に取外し可(上図)

 

安静時の軟口蓋

 

安静時の軟口蓋は垂れ下っており、呼吸のための鼻への空気の通り道は開いています。喉から鼻にかけての黒い「く」の字型の空気の通り道がわかります(2枚目:拡大)。

 

「イ」音の発語時の軟口蓋

 

通常、「イ」音の発語時は鼻咽腔は軟口蓋によって完全閉鎖し、空気は鼻には漏れず、口から出ていくことで綺麗な発語が可能になります。

上の写真は「イ」音の発語時で、空気の黒い通り道の大部分は軟口蓋の挙上に伴い歯がある口の方に向かっていますが、鼻咽腔は完全には閉鎖されておらず、鼻の方にも向かう黒い空気の通り道が残っています(2枚目:拡大)。

 

軟口蓋挙上装置(PLP)装着時

 

「イ」音の発語時に不完全だった鼻咽腔の閉鎖はPLPを装着することで完全な閉鎖が得られました。装置をつけて発語する時は鼻に空気が漏れる事がなく、明瞭な発語が可能となりました(2枚目:拡大)。

 

 

また、PLPの装着は軟口蓋を挙上させる口蓋帆挙筋を鍛える効果もあります。そのため、装置を使い続ける事で、装置を外した状態でも筋の活動が維持されることを期待できます。

 

装着の流れ

発語時の鼻からの空気の漏れの程度をナゾメーターという専用の機器を用いて計測し、発語の明瞭度やレントゲン写真を用いてPLPが必要かどうか診断します。必要時は、まずお口の中の型どりをさせて頂いて作成した石膏模型を元に専門の歯科技工士が作製します。PLPの装着後も言語のエキスパートである言語聴覚士とともに発語の評価を定期的に行い、装置の調整を行ないます。

 

 

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